あの日砂浜で・・・

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「え、あ、あの。そんなんじゃ・・・・。」 「私ほんとうに・・・。」 何か言おう、否定しようとおもっても、この状況が恥ずかしすぎて言葉がでない。 よりにもよってちょっとあこがれていた比嘉先輩の前で・・・しかも、恋愛の「れ」の字もよくわかっていないのに・・・・。 どうしていいかわからずにさらに、下を向く。 「じゃ、僕が沙弥ちゃんの毒牙にかかってみようかな?」 私の顔をじーっと見ながら、比嘉先輩が笑う。 「おい、比嘉、毒牙はおまえのほうだろう。どっちかっていうと餌食になるのは沙弥ちゃんのほうだろう。危ないぞ沙弥ちゃん。逃げたほうがいい。」 吉野先輩の発言にその場にいたみんなが大笑いした。 「そんなやばいんですか。比嘉先輩は。。。」 飯田が興味津々の目をして吉野先輩に話しかける。 「やばいぞ~比嘉は。」 お腹を抱えて笑う吉野先輩に、まだまだいろいろ聞き出したくてしょうがない飯田。 美和も憧れの比嘉先輩情報に興味津々といったところ。 周りのゼミ生たちも明るい吉野先輩の雰囲気にさっきまでのとはちがった和んだ雰囲気が流れる。 自分が話題の中心からはずれ、本当にほっとした。 比嘉先輩の恋愛話で持ちきりになっているその場。 酔い覚ましにと、手に持っていた紅茶の缶の封を明け、 静かに息をはきながら海を眺める。 いつの間にか、真上にあった月は移動し、波打ち際が遠ざかっている。 もうどれくらいここにいるのだろうか。 周りはまだまだ、比嘉先輩の恋愛話でもりあがっているようだ。 私に直接関係はないし、恋愛話もまったく興味はないけれど、それが比嘉先輩の恋愛話は・・・ ちょっとだけ気になったりもする。 比嘉先輩の過去の恋愛話をオーバーに話す吉野先輩に、ゼミ生たちは聞き耳をたて・・・当の比嘉先輩は呆れた顔をしている。 「なぁ比嘉、おまえもそろそろさ~真剣に恋愛をしたほうがいいよ。いつまでも、複数大勢とあそんでるのは、まずいぞ。」 吉野先輩が比嘉先輩に缶ビールをぽいっと投げた。 吉野先輩の投げたビールの缶は、受け取ろうともしない比嘉先輩の足元に落ちた。 さっきまで笑顔だった比嘉先輩の表情が急に不機嫌になる。 「オレはまじめに沙弥ちゃんにアタックしてたんだけど。誤解されるような話やめてくんないかな。」
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