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心地よい風と波の音
氷を持つ左手に冷たい痛みを感じる。
「・・・adnis」
「アドニス
お願いできますか?
「ええ。」
クラッシュアイスを作る手を止めた。
「adonisですね。」
「ギリシャの女神に愛された少年の名前のカクテル。
女神を狂わす程の魅力を持つその人の名前。
あまり飲まれる方いらっしゃらないんですよ。」
背中ごしに会話をすすめ、グラスを選ぶ。
瑠璃色グラスは主人公を待つ物語の景色にも似ている。
「そんな、人に・・・出会ってみたいものですね。」
振り返った瞬間。
グラスの割れる音とともに運命は動き始めた。
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