あの日砂浜で・・・

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ふと自分の足元を見ると、空の缶がゴロゴロと転がっている事に気づく。 退屈な会話をこなすための大量のお酒の缶。 自分でのこんなに飲んでいたとは・・・ もう、何をいっていいのかすらもわからず、 手に持っている「Strwberry Margarita」残りは半分。 美しさを持たない缶に押し込められたカクテルを一揆に飲み干す。 南のお酒テキーラ。 あまったるいストロベリーに包まれ缶に閉じ込められたテキーラからは ラテンのリズムも感じられない・・・自己主張できないテキーラ。 「本当にお酒強いよね。うわさには、聞いていたけれど。 彼氏になったら大変そうだね。」 美和が笑う。 「まだ飲んでるし・・・とりあえず、沙耶もう1本いっとけ!」 お酒とその場の勢いの飲まれた飯田は、その次の場面の雰囲気など考える余裕もない。 「酒豪さん、いっしょに飲みましょ!男同士の熱い語らいを!」 飯田がお酒の缶をもて、私の方に手をまわそうとする。 飯田の手から、手からお酒の缶を取り上げながら丸太ベンチから立ち上がる。 普段なら黙っているが、私も相当な量のアルコールを消費してるのが祟って、感情が唇からこぼれる。 「あのさ、人の事はほっといてくんないかなぁ・・・。 別に私が、男に惚れられてすぎてこまっているとも、彼氏できずに困っているとも言ってないんだけど。」 なんて大人げのない発言を、勢いで口走ってしまった。 女の子の冷たい視線と男の子のちょっと驚きにも似た表情にとりかこまれた中、 「もいっちょ飲みますか!」 手に持った缶の封をあけ、ひとりで勢いよく 「私ひとりで、ジャングルいけちゃいます!かんぱ~い!」 場を和ませようとわけのわからない台詞を口にする。
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