池内桜子

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昔、池内桜子の父は大きな総合病院の副院長だった。 オーナーの祖母が、心臓病でその病院に入院した時、池内桜子の父に便宜をはかってもらったらしい。 しかし、オーナーの祖母は手術後2ヶ月で亡くなったが、義理堅いオーナーの母は、最後まで良くしてもらったと盆、暮れの付け届けを欠かした事がなかった。 8年前桜子の父が亡くなり、またその年『老舗和菓子屋鈴の木』を、先代から現オーナーが譲り受け、今の洋菓子店にリニューアルした。 その際先代の母から 「大変お世話になった方のお嬢さんだから、簡単な仕事でアルバイトさせてあげて欲しい」 と、連れて来たのが池内桜子だった。 お嬢様育ちで仕事に付いた事がない桜子は、初めからワガママで使いにくい従業員だった。 それから8年間桜子は、週5日、朝8時30分から夕方5時30分まで、ケーキの製造の方で働いてきた。 この池内桜子が、大変なトラブルメーカーだった…
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