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が、
「紗姫」
後ろから、誰かに抱きつかれた。
誰かと思い、上を見上げる。
「霧夜…?」
優しく包み込みように、霧夜は紗姫に抱きついていた。
あまりに急なことで、目をぱちくりさせながら、状況を理解するまで黙ったまま抱きつかれていた。
「え、霧夜!?」
ようやく理解できた紗姫は、もう一度霧夜を見た。
頬が熱くなっていくのを感じる。
「先輩、顔真っ赤」
淳は、紗姫の顔を見てそう言いながら笑った。
紗姫の後ろで霧夜の笑い声も聞こえる。
紗姫の顔はさらに赤くなった。
「紗姫、お前また淳に抱きつかれてただろ」
「ちょっ…耳元で喋らないで…っ」
顔を真っ赤にして、少し怒り気味な感じで霧夜に言う。
「悪いな」
また耳元で喋り、紗姫をぱっと放す。
そして何事もなかったかのように自席についた。
紗姫もため息をつき、席につく。
「ねぇ霧夜。会長は?」
紗姫は隣に座る霧夜に、まだ熱が冷めない顔をそちらに向けずに聞いた。
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