~第九話~
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紗姫が淳の方に傾いた。 「淳ちゃん…?」 淳が、立っている紗姫に抱きついた。そして、顔を埋めたまま小さな声で言った。 「…少しだけこのままでいさせて下さい…」 「うん」 何があったのか、淳ちゃんの肩が小刻みに震えていた。 淳ちゃんの頭を、私は優しくゆっくり撫でた。 「泣きそう…」 淳ちゃんが呟いた。
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