ご褒美

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「できたぁ~」 頬を机につけ、疲れたような声で彼女はそう言った。 「お疲れさん。答え合わせすっから、その間休憩な。」 俺は答案を受け取り、解答に目を通す。 俺が彼女の家庭教師になって半年。 少しずつではあるが、彼女の成績も上がってきた。 あとは彼女のやる気だけなんだが… 「先生~、数学なんてどうでもいいからさぁ~、どっか遊び行こうよ~。」 「バカ言ってんじゃねぇよ。ほら、バツつけたとこやり直し。」 「えぇ~。」 「"えぇ~"じゃない。」 「むぅ…はいはい、やればいいんでしょ。」 まったく… もう受験生になったんだから、もう少し自覚を持って欲しいもんだ。 「ねぇ、先生。夏休みになったらいっしょに海行こうね。」 「お前なぁ…受験生が夏休みに遊べると思ってんのか?」 「だって勉強ばっかじゃ死んじゃうもん!息抜きだって必要だよ!」 「そりゃ息抜きは必要だけど、お前の場合その息抜きが多すぎるんだよ。そんなことより早くやれ。」 「も~う、先生のケチ!」
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