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「そうにゃ、私は怒ってるにゃ」
ミケは被っていた防災頭巾を脱いだ。
猫耳はピンと立っていて、月明かりを浴びたミケの瞳は不思議な青い光を帯びている。
思わずゾクッとしてしまうような、魔性の美しさがそこにはあった。
「こうなったら、猫の手を使わせてもらうにゃ」
それを言うなら、奥の手じゃないのか。
ヤマネコが訝しげに思った瞬間である。
「にゃおおおおおおおおおおおおおおん」
ミケは体を大きくそらし、月に向かって高らかに鳴いた。
遠吠え、いや遠鳴きと言うべき行動である。
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