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そして、いよいよ唇が触れんばかりに近付いた瞬間。
ミケはポンと小さくなって、三毛猫の姿に戻ってしまった。
「あ、ありゃ?」
恐らくは力を使いすぎてしまったのだろう。
分かってはいる、分かってはいるが、ヤマネコは何だか腑に落ちなかった。
「……ま、いっか」
しかしそんなことは、腕の中で寝ている三毛猫を見ていればどうでもよくなってしまっていた。
ヤマネコはその場にしゃがみ込み、ぼんやりと月を見上げる。
まん丸な月は、ミケの瞳を連想させた。
今はただこうして、猫を撫でてのんびりとしていたかったのだった。
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