ACT.0『20年前…』

2/4
39人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
  「今、トンネルを抜けて鳥居前のコーナーに入る!」   男が話すと同時に、二台のライトが目の前を駆け抜ける   「奴が、FFのくせにケツを滑らせて入って行きやがる…」   二台のキール音が声を掻き消す   高速フェイントモーション(ラリークイック)を駆使し、後ろを走るFDの前を抑えてドリフトをしていく…     「くっ、こんなにも良いのか…バラスポって奴はっ!!」   FDのドライバーは、前を走る逆輸入仕様のバラスポCRXのコーナーリングスピードに少しいらつきながらついて行く。   「糞っ!!」   2台がこの峠で1番長いストレートに差し掛かる。     バラスポの車内では、ドライバーがメーターの前に付いている計器を弄る…   「……甘い………」   ダッシュボードの上の計器の一つがギアチェンジと共に跳ね上がる…   「いけッ―!!」   FDのドライバーがアクセルを更に踏み込み、勾配が緩くなったストレートで抜きにかかる。     夜の峠に、ロータリーサウンドが木霊する…  
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!