ACT.1『伝説のダウンヒラーの血を継ぐ者』

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  人気のない早朝、 朝霧が少しかかった山の展望駐車場から、 そこに続く峠道を見下ろしながら2人の青年が話していた。   「なぁ、昔この峠でかなり速い奴がいたらしいぞ…」   「へぇ~、それで車はなんなんだ?」   「バラスポらしい…」   「バラスポ?あの古いホンダ車の?」   「由貴の車より古い車だ。」   由貴と呼ばれた青年が彼の愛車に寄り掛かる。   「じゃあ、冬矢。俺達の車の方が速いじゃないか。なんでそんな古い車のタイムが破られてないんだ?」   「さあな、聞いた話しじゃあ、MRになってたとも聞くし、B16Aが乗ってたとも聞く。」   冬矢と呼ばれた青年はタバコに火を点けながら答える。   「とにかく、親父から聞いた話しじゃあ凄く速かったって話しだぜ。」   「そんで、そんな話しを聞かせて俺にどうしろってんだ?」   「俺達で、伝説塗り替えようぜ!!」   冬矢が身を乗り出して由貴に言う。   「まあ、考えとくよ。もう眠いし俺は帰る。」   冬矢のタバコの煙に煙たそうにしながら答えて、由貴は車に乗り込んだ。  
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