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人気のない早朝、
朝霧が少しかかった山の展望駐車場から、
そこに続く峠道を見下ろしながら2人の青年が話していた。
「なぁ、昔この峠でかなり速い奴がいたらしいぞ…」
「へぇ~、それで車はなんなんだ?」
「バラスポらしい…」
「バラスポ?あの古いホンダ車の?」
「由貴の車より古い車だ。」
由貴と呼ばれた青年が彼の愛車に寄り掛かる。
「じゃあ、冬矢。俺達の車の方が速いじゃないか。なんでそんな古い車のタイムが破られてないんだ?」
「さあな、聞いた話しじゃあ、MRになってたとも聞くし、B16Aが乗ってたとも聞く。」
冬矢と呼ばれた青年はタバコに火を点けながら答える。
「とにかく、親父から聞いた話しじゃあ凄く速かったって話しだぜ。」
「そんで、そんな話しを聞かせて俺にどうしろってんだ?」
「俺達で、伝説塗り替えようぜ!!」
冬矢が身を乗り出して由貴に言う。
「まあ、考えとくよ。もう眠いし俺は帰る。」
冬矢のタバコの煙に煙たそうにしながら答えて、由貴は車に乗り込んだ。
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