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「そう言えば、僕のお父さんとお母さんはどうなったの?今ここにいるの?」
『教えてほしい?』
「え…?」
そこは普通教えてくれるところではないのか?
聞くってことは、まだここには帰ってきてないってことなのかな?
どちらにしろ、僕は聞きたい。というか、聞かなければいけない気がする。
「聞きたい」
『そう。あなたの両親は、まだ見つかっていないわ』
「そうなんだ……」
やっぱり予想していた通りの答えだった。
多分キリさんは、これを言ったら僕の判断が鈍ると思ったのだろう。
『それで、結局どうするの?』
「……ごめん、少し考えさせて……」
まだいろいろな事の決断ができない……
今の状態が治ったら、ほぼ確実にここに残るか堀江家に戻るかを決めなければならない。ここにいれば、記憶も戻るかもしれないし、両親に会える可能性も少しだけどある。
だけど、今までの平穏な日々を捨てなければならないのだ。元の野生の動物に戻るから、餌も当然自分で探さなければならないし、安心して寝ることもできないかもしれない。
逆に堀江家に戻ると、今まで通りの平穏な生活がまっている。ご飯も絶対に食べれるし、気楽に寝ることもできる。
だけど、両親には絶対会えないし記憶も戻らない。
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