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「着きましたが、人は全然いないですわね」
人が全然いない公園なんて珍しいものだ。だから猫がたくさんいるのだろう。
「ごめんね」
「謝ることはないですわ。最近ミュウは謝り過ぎですわよ」
「うん。ごめん」
「まあ、いいですわ。わたくしは周りを見ていますので、ミュウは話を聞いて来てください」
「うん」
早速手当たり次第に、ここにいる猫に話を聞くことにした。
まず一匹目、凄く若い猫だ。昨日明日香さんが言ったとおり、年の取った猫に聞いた方がいい気がするけど、そんなこと今の僕には関係なかった。教えてくれることなら何でもいい。
とにかくいろいろ聞きたかったのだ。
「すみません」
『なんだよ……あれ?お前オレとどこかで会ったことないか?』
「え?いや、僕はそんな記憶全然ありませんけど…?」
意外な事を言われた。僕がこの猫の事を知っているだって?
僕は全然覚えていないけど、もしかしたら、僕は本当にこの場所を知っている?
『そうか?でも、確かにどこかで会ったことがあるような…?』
『どうかしたのか?』
僕と若い猫が話しているのを見て、別の若い野良猫が僕たちの方に歩いてきた。
『ああ、お前はこいつのこと知ってるか?』
いきなり来た猫に聞くことじゃない気がするんだけど、その猫は「うーん…」と考えると、
『そういえば、どこかであったことあるような気がする……』
「嘘でしょ!?」
まさか本当に知っていると思わなかった。
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