一年前の話 タイムとキリ

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『タイム』 『なにお父さん』 タイムと呼ばれた子猫は、父さん猫の方に歩み寄った。 『お前には悪いことをしたと思っている。お母さんと一緒には暮らせないなんて……私たち親が勝手に決めてしまって』 『僕は気にしてないよ。お母さんと暮らせない事に理由があることはわかってるし、僕にはお父さんがいるし友達もいる。全然気にしないよ』 タイムの母親はある事情により、一緒に住めなくなっているのだ。 ミュウを生むとすぐにどこかに行ってしまい、今はどこにいるか見当もつかないらしい。 しかし、タイムの言葉は子供の猫なりには頑張った発言だろう。多分タイムもそれ以上は思いつかなかったのだ。 ただ父親に自分を責めてほしくないと思っているのだろう。 『そうか……』 父親もタイムの気持ちがわかったのだろう。それ以上は何も言わずに、黙っているだけだった。 『タイム!』 そんなときに、他の子猫がタイムの名前を大声で呼んだ。 クリーム色がよく似合う、可愛い女の子の猫だ。
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