猫語を話そう！

一年前の話 タイムとキリ

『でも、タイムがあんなこと言うのもわかりますよ。理由も言わないであんなこと言うなんて』

『仕方ないことなんだよ』

『…………』

キリも子供なのだ。そんな理由で納得が出来るはずもなく、父親を強く睨みつけた。すると、タイムの父親はため息をついて、

『……君には理由を話してもいいかもしれないな……』

『理由ですか？』

『ああ、タイムにはどうしても言えないんだ』

そんな理由を他人であるキリに話してもいいのだろうか？

しかし、キリは聞きたくて仕方がないようだ。その辺はやっぱり子供だ。

『なんですか理由って？』

『母親のことなんだ』

『タイムのお母さんって、一緒に暮らせなくなったっていう……』

『ああ、その理由キリちゃんは知ってたかな？』

『いえ……』

なんだかんだ言っても他人のことなのだ。そんな話をキリが知っているはずない。