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『タイムの母は猫語以外の言葉が話せるんだ』
『どういうことですか?』
『ある人間の研究でね。そういう体質になったんだよ』
人の技術がそこまで進歩しているなんてキリには思わなかったのだろう。少し驚いた様子で父親の方を見た。
『そんな……でも、なんでそれが一緒に暮らせない理由なんですか?』
『タイムの母親は実験体だったからね。そういう話が表に出ることもない。そんな猫がいたら狙われるに決まっている。だから一緒には住めないんだ。そんな事を知らずに声をかけた私にも責任がある』
『……それで、今回おじさんがいなくなることに何か関係するんですか?』
確かにそうだ。母親が一緒に住めないのなら、それだけでいいじゃないか。わざわざ父親までいなくなる必要はないだろう。
『ああ、実は普通の猫に戻す方法が見つかったんだ。だから私が母親を探さなければならないのだ』
『本気ですか?』
『本気だとも。これをタイムに言うと絶対に付いてくると言ってくるはずだ。見つからないかもしれない母親探しに、タイムを連れていけるはずがないだろ?』
『そうですけど……』
妙に納得してしまう。タイムの気持もわかるけど、父親の気持もわかってしまうのだろう。
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