一年前の話 タイムとキリ

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『タイムのことはキリちゃんに任せるつもりだ。だから今君にこの話をしている』 『どういうことですか?』 『ひとつ君に頼みたいことがあるんだ。タイムは猫語を話せる猫の息子だ。だから、もしかするとタイムも猫語以外を話しだす可能性がある。その時にタイムをある所に連れて行ってほしいんだ』 なるほど。確かにその可能性もあるだろう。 しかし、ある所とはどこなのだろうか? もしかすると、さっき父親が言っていた母親を治せる場所だろうか? 『ある所?』 『私が見つけた、何でも治せる不思議な力を持つ人のところにね』 キリが思っていた通りだった。 しかし、治すことができるのが人だったのは予想外だ。 そんな人を猫である父親はどうやって探したのだろうか? 『どこにあるんですか?』 『ここから何キロも離れた場所だよ。詳しいことは後で話そう。その前に、タイムを連れて帰ってきてくれないか?あの子を怒らせたまま出ていくのは後味が悪い』 『わかりました』 タイムの父親に言われ、キリはタイムを探しに行った。 しかし、タイムは見つからなかったのだ。どこにも、どれだけ探しても、タイムが見つかることがなかった。
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