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待ち合わせの公園に着くと、キリさんが他の猫と話しながら待っているのが見えた。
日はまだ沈んでいない。ギリギリセーフだったようだ。
「キリさん!」
キリさんに聞こえるように大声で叫んだ。周りにいる人に聞こえたかもしれないな。でももうすぐ元の猫に戻るんだからそんなの関係ない。
とりあえず、キリさんの方から来る気配がないから、僕がキリさんの方に向かった。
『来ないのかと思ったわ』
「ごめん遅くなって。いろいろと悩んでて……」
きっと、昨日僕と別れてからずっと待っていてくれたのだろう。少し、疲れているようだ。
『まあ、あなたの人生を左右することだもん。時間が短かったことを謝るわ』
「ありがとう」
『それで、ここに来たってことは、決めたのね』
「うん」
当然、決めたからここに来たのだ。
「僕は……」
そう言った瞬間、周りのみんなが固唾を呑むのが聞こえた。
ただ、キリさんだけは表情を変えずに僕の方を見ていた。
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