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「僕はここで生まれてここで育った。そして何も言わずに出て行ってしまった。お父さんにお別れも言わずに……罪滅ぼしって言うわけじゃないけど、僕はもう一度お父さんに会わないといけない気がする――というより、両親に会いたいんだ。会っておかえりって言ってあげたいんだ。行く時に言えなかった分も言ってあげるんだ。だから、僕はここに残ることを選んだ」
「そうですか……」
「もちろん、明日香さんには感謝してるよ。由美さんも、悠太君も、トラ君も、クウちゃんも、みんなに感謝してる。こんな僕を家族や友達だって思ってくれて凄くうれしい。でも、僕はミュウじゃなくて、タイムで生きる事を決めたんだ」
僕の思いを皆に伝えると、それ以上はみんな何も言わなくなった。きっと僕の気持ちがわかってくれたのだろう。
「決意は固いみたいですわね……わたくしはこれ以上何も言いませんわ」
「俺も賛成だ。ミュウが決めたことなら文句は言わない」
「わたしも……自分で決めたんだから仕方ないよ……」
堀江家3兄弟は納得してくれた。あとはトラ君とクウちゃんだ。
『俺も皆と一緒だよ。お前の決めたことに口出しはしない』
『わたしは……別れるのはつらいけど、ミュウちゃんが決めたんだもん……何も言えないよ』
トラ君とクウちゃんも納得してくれた。みんな納得してくれた。これで心おきなく残ることができる。
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