第一章

7/40

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ
† †    これとこれとこれと。  雑然と並べられた調味料及び食料品各種を手当たり次第にかごに突っ込んでいく。  あまりに無作為なので、となりの主婦っぽい人がチラチラとこちらを見てきた。  当然といえば当然かもしれない。  なにぶん僕は本来学生で、今日は平日だ。つまりサボりだ。  お子さんがこうならないように気をつけてください主婦さん。      とりあえず、ぐしゃぐしゃになった福沢先生を二枚必要とする分だけ程度の食料は買った。向こう2ヶ月は生活できるだろう。多分。  大のレジ袋を五つ下げ――というか買いすぎな気がした。  引きこもりには辛い。筋トレなんてしてません。  必死こいて約半分の道のりを踏破。公園のベンチで一休み。  なんかホームレス住み処へ帰宅みたいで嫌だな。そんなことを思うとニヤリと口元が歪んだ。      古めかしい公園だ。時代の忘れ物のように、全ての物が色褪せてくすんでしまっている。    ――はもう目覚めているわ。    ぼんやりとした頭の中で、誰かの声がリフレインした。    ――烏にお気をつけなさい。    こんなことも言っていた気がする。夢を頭から信じるなんてことはしないけど。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加