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眩む眼前に、一人の微笑みを浮かべた少女が立っていた。
しかし、なんと形容すればよいのだろう。
上手い言葉が見つからなかった。言うなれば、現世的ではない容姿、服装というべきか――しかし、それがあまりにも似合いすぎて不思議な調律となっていた。
彼女を例えるならば、烏とでも言うべきなのだろうか。
少女が纏う服装は、傍目から見ても凝った装飾が施してあり、漆黒の生地は日の光を吸い込むように煌めく。
ゴシック的な服装。ブーツまでもが黒で統一され、編み上げのある胸元から覗く白いブラウスがやけに艶かしい。
微笑みを浮かべる唇は薄く、血のように紅く。肩まで伸びる銀色の髪は、ますます彼女を現実から遠のかせていた。
釣り目がちの瞳は薄く紅みがかり、かすかに細められている。開いてこちらを見ているのは右目のみで、左目はくるくると無造作に巻かれた包帯で覆われていた。
――ベルは、いつしか止んでいた。
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