第一章

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     少女の紅い瞳は、ゆっくりと僕の全身を舐め回していった。    彼女から伝わってくる圧倒的な圧迫感。  再び目が眩みだす。  これれこそ、狩るものと、狩られるものの違い。背は小さくとも少女は狩人で、僕はその獲物だった。     「ねぇ。あなたのぉ……お名前はぁ?」  先ほどまでの落ち着いた口調とは違い、小馬鹿にしたような物言い。  肉食獣は、じっくりいたぶってから仕留めるのだという。  だとしたら、動揺を誘われるな。どのみち逃げ場はないのだから。   「ヒ、ヒナタ。ヒナタだよ」   「ヒナタ――ヒナタ。かーわいいお名前ぇ」  反芻し、少女の唇がさらにつり上がる。  彼女は壊れているのかもしれない。でなければ、こんな歪んだ笑みを浮かべることができるのだろうか。   「聞き返すけど、君の名前はなんだ」  少女は『あぁ~』と頷き、   「私はぁ、《葬魔燈[そうまとう]》。さっき言った、アリスの一人」  ドレスの裾を摘まみ、葬魔燈は優雅に一礼した。
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