第一章

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† †   「うー……」  久しぶりに直接見た空は、やはりうざったくなるほど青かった。  どうも明るかったりするものを精神的に嫌悪する習性があるらしい。僕は深海魚かっての。  自分に対する悪態はあまり笑えない。鏡を除いて。    さらに人を遠ざける何かがあるらしいな。  たまにすれ違う人は、僕を見るなり道を空けてくれる。  それもそうか。窶れてるし夏も近いのに長袖だし、何より僕は目付きが悪い。  くまが出来た目をゴシゴシ擦り、『こんにちは!』とでも言ってみた。うわなにこのキャラ。自分で腹立つことこの上ない。  結果は酷く引かれた。当然か。      遠目に学校が見えた。幼いころ通った小学校。懐かしい。そんな思いが微妙に溢れてくる。  意味もないのに真面目に通って、昔の僕が見たら泣くだろうな。   「――引きこもりだし……クックッ」    ……笑えねぇって。
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