172人が本棚に入れています
本棚に追加
場所が変わり、数十分前まで笑顔で満ちていた広場。
今は逃げ惑う人々が追い込まれて、それを取り囲むように、舌なめずりをする男達が各々の凶器を携えている。
「みんなから離れてっ!!」
不意に自分達に指図する声に、イラつきの表情を示して山賊達は振り向く。
しかし、その表情は直ぐにゆるんだ。
そこには、キッとした表情をしたリエーリが立っていた。
「へへっ、上玉だな」
「あぁ、売り飛ばせばいい金になるぜ」
「その前にお召し上がりしてぇがな」
そこで下品な笑い声が上がる。
そして、二、三人の男がリエーリにジワリジワリ歩み寄る。
刹那…………乾いた発砲音が一つ。
「ぐあぁぁぁっ!!?」
同時にリエーリに歩み寄っていた三人の男が膝をつく。
そして、リエーリの右手には、銃口から硝煙が上がっている銃が握られていた。
「こぉのクソアマァッ!!」
一人の声を皮切りに、男達が凶器を手に一斉に襲いかかる。
「“アレグレット・クロック”」
襲いかかる男達に一切臆す事なく、前を見据えてリエーリはそう言い放つ。
そして、再び発砲音が鳴り響く。
しかし、銃口から放たれた弾丸は七つ。
その全てが的確に男達の膝を捕らえて、砕く。
「チッ……この女ギフターだ」
そう叫んで、男が腰に差してあった銃を引き抜こうとする。
「残念」
そう聞こえたかと思うと、弾丸が腰の銃を捕らえる。
その男の銃は宙に舞い、草むらに消えた。
男は慌てて銃を追おうとする。
しかし、その歩みは直ぐに止まる。
「抵抗しないでね」
少し冷えた笑顔の彼女に、銃口を頭に突付けられ、男は無条件で両手を上げた。
その目の前には、関節を砕かれ地に平伏す男達の姿があった。
最初のコメントを投稿しよう!