第一章[赤い国境]

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「…………国境は、いつ来てもいい気分はしないね」 「同感、血を吸って赤くなった地面だ。改めて、戦争がイヤになる」 武器を手に携えながら、二人は遠方に気を配りながら先へと進む。 すると、風の音と共に耳が捕らえた微かな声にグレイは悪寒を感じる。 リエーリも、どうやら勘づいたようだ。 二人は、同時に同じ方角を向く。 「マズい…………」 「うん、逃げるよ」 揺れる地面と肌を刺すような狂気。 自らを鼓舞し、猛り狂う声を先程よりもハッキリと耳にする。 二人の予感を確信に変えた。 『おおぅ……グレイ、タイタロアとレイガディオンの軍だぜ。こりゃ、ぶつかるな』 「わかってるっ!!」 ガデュウが悠長に状況を述べると、グレイは怒鳴り気味に返す。 とにかく、ど真ん中に巻き込まれるのだけは避けたい。 即座に全力で最前線から逃れようと二人は走り出した。 すると、空気を震わせて数回の砲撃音が鳴り響く。 『リエーリっ!!タイタロアの砲撃がきた。狙われてる』 「あーー、もう。なんでこんなに運がないの? “第一覚醒”」 フォルレガートの呼び掛けに、リエーリは嘆きながら銃を引き抜く。 そして、銃がリエーリの声に呼応し、ベルの紋章が刻まれた金色の銃へとフォルムを変える。 「当たって、“アレグレット・クロック”」 コンマ一秒以下で、トリガーを連続で絞る。 発砲音と共に放たれたのは、弾丸ではなく振動の塊。 音の弾丸は見事に砲弾を捕らえて、空中で爆発した。
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