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「あーーっ!!?」
空中で爆発した砲弾を見て、グレイは思わず叫ぶ。
勿論、彼が急に叫んだ理由などリエーリにはわからず、彼女は首をかしげる。
「あれは、威嚇弾。立場のわからない相手に打つ砲弾だよ。何もしなければ不発なんだ、あの砲弾は。今ので多分、タイタロアが僕らを敵に見なした」
「…………ウソでしょ?」
「こんな場所で冗談は、言える筈ない」
リエーリは、グレイの言葉にサーッと青ざめる。
そして、二人は更に走るスピードを上げる。
しかし、タイタロアの軍勢から、先程の数倍もの砲弾が飛んで来る。
今度は間違いなく本物の砲弾だ。
「くっ……あれは、落し切れないぞ」
対処仕切れない数の弾に、グレイが悪態をつく。
すると、リエーリは走りながら左手のグローブを外し、頭上に掲げる。
「あぁ、もう。お願いフォルレガート、“第二覚醒(セカンド・ブラスト)”!!」
リエーリがそう叫ぶと聖痕から、光が走り鐘の音が鳴り響く。
その光の中から表れたのは鋭い朱い眼に四つの金の翼、足の付け根からは巨大な黄金の鐘が生えている金色の怪鳥だった。
それは羽ばたく度に金色の羽根が宙を舞い、神々しい雰囲気を纏っていた。
「グレイ、乗って」
リエーリは直ぐにその怪鳥、フォルレガートの背中へと飛び乗り、そう言った。
その呼び掛けに、グレイは直ぐにリエーリへと続く。
「直ぐに国境から離れてっ!!」
『承知』
リエーリが指示をすると、少し低めの声が二人の耳を捕らえる。
四つの翼を羽ばたかせ、金の羽根が舞い散る。
そして、一瞬でレイガディオンの方角へと飛び去った。
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