第一章[赤い国境]

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タイタロアとレイガディオン間の国境より、北西側。 広がる草原の上に、金色の怪鳥フォルレガートが降り立つ。 「危なかったな…………」 「うん、もうちょっとで砲弾の餌食だったね。ありがとう、フォルレガート」 緑の生い茂る地面にグレイとリエーリは、降り立つ。 何とかあの状況を潜り抜けれて、疲れた表情でグレイはため息吐いた。 リエーリも半笑いしながら一息つき、フォルレガートに礼を言う。 『よぉ、グレイ。楽しそうだったな』 「冗談じゃない、もう少しで死ぬトコだったよ。ハァ…………」 久々に膨大な殺気を感じたからか、ガデュウは上機嫌だった。 その様子にグレイは更にため息を吐く。 どうも彼は精神的にも肉体的にも苦労する傾向があるようだ。 すると、グレイの頭にビシッと何かが当たる。 「やーいやーい、化け物。こっちに来いよ」 幼い感じの声に、グレイは振り向く。 そこには、パチンコを持った13歳程の外見のゴーグル帽を被った少年がいた。 ダークグリーンの少しボサッとした髪にブカブカ気味の軍服。 その少年の胸には、剣と槍がクロスした紋章が繕われている。 「あの子、レイガディオンの兵士?」 そう言って、リエーリがその少年に近付こうとする。 しかし、それはグレイが彼女の肩を掴む事で静止させられた。 「待って、あの武器で攻撃を仕掛けてくる兵士は相場で決まってる。“アド・グラビデ”」 左手を少年の方に向け、聖術を唱える。 二人と少年のと間に広く、重力がかかる 途端に草原の数ヶ所に爆発が起きる。 他にも、何処からかペイント弾やら網やらが飛んで来たりした。 そして、ひとしきり罠が発動を終えると、少年は茫然とする。 「やっぱりトラップ専門の工作員だったか」
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