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「…………くっ」
もう目の前に仕掛けた自分の罠が一つ残らず誤発させられて、少年はうらめしそうな表情を浮かべる。
そして、しばらくグレイをにらんだ後片手のパチンコを腰のバックの内の一つしまい、身構える。
そして…………
「覚えてやがれーーっ!!」
正に典型的な三下の台詞を吐き捨て、尋常じゃないスピードで逃げ出した。
「早っ!?」
余りの速さにリエーリが驚く。
気付けば、既に少年は百メートル近くの距離にいた。
「へへーんだ、追いつけないだろ」
あっという間に遠くなった二人を挑発しながら、その少年はあっかんべーを走りながら向ける。
すると彼の足元でカチッと小刻みのいい音が鳴った。
「へ?」
ボフッと少年を中心に薄茶色い粉塵が舞う。
すると、急に鼻をヒクつかせて。
「ふぇっくしょんっ!! へぇっくしょんっ!! あ゛ぁっ、目が痛ぃっきしっ!!」
どうやらあの粉塵は、コショウのようだ。
見事に自爆した少年は、クシャミと目の痛みに苦しまれている。
グレイが呆れ半分に見つめていると、隣りで下を向きながらプルプルと震えているリエーリが目に入った。
「プッ、アハ。アハハハハっ!! じ、自爆……アハハハハ。ダメ、ダメ、アハハハハハハハハ」
予想通りの大爆笑に、グレイは既にご恒例のため息。
「ほら、リエーリ。あの子の所に行くよ」
「ケホッ、ケホッ。う、うん……ククッ。アハハハハハハハハ」
結局あの少年の元についても、クシャミが止まらない少年と笑いが止まらないリエーリのせいで、会話が成立させるようになるは時間がかかった事は言うまでもない。
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