プロローグ

3/4
前へ
/130ページ
次へ
「僕かエストの方に固まれっ!! 弾幕を突破するぞ“第一覚醒(ファースト・ブラスト)”」 グレイがそう叫ぶと、彼の持つ大剣の刀身が漆黒に染まり上がる。 グレイの号令を聞き、彼の真後ろに三人程ついて走り続けた。 彼らの丁度、右50メートル程の位置にエストを筆頭に、前方に並ぶ大砲へと向かう。 彼女の両手に携えられた双剣は、空色の光を纏っていて多少離れていても、その光でよく目立った。 「隊長、来たぜっ!!」 火薬が炸裂し、空気が大きく揺れる。 その直後に聞こえた、後ろの隊員の一人の声にグレイの意識は自分達へと降り懸かる砲弾へと行く。 自分達へとぶつかるであろうと思われる弾を、今までの経験から目測で絞ると、グレイは漆黒の刀身の大剣を持ち直した。 「はああぁぁッ!!」 グレイは大剣を振りかざし、刃では無く大剣の腹の面で砲弾を打ち返すように振る。 刀身が見事に砲弾を捕らえると、砲弾の九割近くが“消えて無くなった”。 正解には大剣の横幅より、僅かにはみ出た砲弾の部位だけを残してその漆黒の刀身に抉り取られたようだ。 敵の第二撃までインターバルの間にグレイは横目で、エスト達の無事を確認する。 彼女達も無事に凌ぎ切ったようだ。 「このまま、第二撃までに敵陣に乗り込み白兵戦に持ち込む」 背後に並ぶ隊員にそう告げると各々が、走るスピードを上げてグレイに並んだ。 敵の砲弾の準備は、まだ終わり切っていない。 エスト達もグレイ達の動きを見たからか、走るスピードを更に上げて各々が敵陣へと切り込んでいっていた。 「無事に帰るぞ、間違っても死ぬな」 そうグレイが自分と並んでいる隊員達に強く言い放つと、グレイ達もそれぞれ目と鼻の先にある敵陣に切り込んで行った。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

172人が本棚に入れています
本棚に追加