chapter 2 start

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走る。走る。走る。 全力で地を蹴り、腕を振り、ただ前へ、目指す場所へと駆けていく。 葛城シーランドは異常なまでに広い。 その広い敷地内の一番奥にゲーム施設〈アイオーン〉はある。 入り口からの距離はおよそ1㎞。その道のりを3人は全力で走っていた。 走り始めて3分少々。早くも一人目の脱落者が出かけている。 湧喜だ。 「ぜぇ、はぁ。お、俺はもうダメだ。俺を置いて先に行け!」 バトル漫画のようなノリで言う湧喜に、勇夜が言い返す。 やはりバトル漫画風で。 「何、馬鹿な事言ってんだ!そんな事は出来ない。頑張るんだ。もうすぐ援軍が来る!」 バトル漫画のノリではなく、戦争映画風のノリだったようだ。 湧喜がリタイヤしかけている。体力不足──主にスタミナ──がもたらした当然の結果だった。 諒成と勇夜はそこそこ体力があるが、湧喜には無かった故の事態である。 だが目的地はもう目と鼻の先。そもそもまだ5分と走っていない。 2人のノリに付き合う気もない諒成は冷ややかに言う。 「いいから、走れ。時間が無い。」 それについては同意見な2人もラストスパートをかけ、会場に駆け込んだ。 時間は8時4分。 少し遅刻だ。 しかし、説明会は始まっていなかった。
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