chapter 2 start

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説明にかかった時間は20分弱。ゲーム開始予定の時間まであと30分といったところだ。 『それでは、説明も終わりましたので、本社社長並びにゲーム開発主任から一言ずつ挨拶致します。』 スピーカーから声が響き、残り時間の予定を告げた。 『社長もつい先程到着しましたので、まずは社長から一言頂きたいと思います。』 和成到着の知らせに湧喜が呆れ顔で言う。 「や~っと着いたか、和成さん。のんびり歩いて来てたんじゃね?」 もしこの言葉が当たっていれば、大企業の社長ともあろう者としてはあるまじき時間に対するルーズさだ。 そんな湧喜の呆れをよそに、和成が一同の前に姿を現した。 先程と同じ穏やかな笑みを浮かべながら、和成は話し出した。 「皆さん、おはようございます。葛城カンパニー社長、葛城和成です。」 マイクも使っていないのに会場全体に良く響く声で言う。 「まず、遅れて来たことをお詫び申し上げます。」 始めに謝罪の言葉を述べ、本題に入った。 「本日は我が社の開発したゲーム、〈アイオーン〉にご参加頂き誠にありがとうございます。仕事だ、などと肩肘張らずにどうぞ存分に楽しんで下さい。私からは以上です。」 そして、そう言って話を終えた。 『続きまして、開発主任、葛城智成(カツラギトモナリ)から一言。』 そう言われて進み出て来たのは、諒成達とそう年齢の変わらない少年だった。 (主任は大人がやって、開発者は開発に専念してるんだと思ってたが…………指揮も出来るんだな。) 諒成がそんなことを考えている内に、智成は参加者の真正面まで来て話し始めた。彼もマイクは持っていなかった。 「はじめまして。葛城カンパニー開発部主任、葛城智成です。知っている方も多いと思いますが、社長である葛城和成の息子でもあります。」 父親同様良く響く声で堂々と言う。 「この様な大規模なゲームの開発に携わることが出来た事を大変嬉しく思っています。また、皆さんには心より楽しんで頂けるようにと願っております。では、これで僕からの挨拶は終わりとさせて頂きます。」 そう言って智成は話を終えた。
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