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2人の挨拶に費やした時間は5分程。あと15分残っている。
『では皆様、後ろをご覧下さい。』
参加者達はアナウンスの指示通り後ろに振り向くそこには平な床が広がっていた。
そして一同の見守る中で、床に無数の丸い穴が開いた。
参加者達は口々に驚きや感心の声を上げている。
その床に開いた穴から斜めに固定した卵の様な大きなカプセルが現れた。
『このカプセルこそが〈アイオーン〉に組み込まれた我が社の技術の粋。通称です。』
アナウンスの声が変わった。和成の声だ。
『それでは皆さん、点滴を着けるなど準備がございますので手近なカプセルにお入り下さい。』
和成のアナウンスに従い、参加者達は各々カプセルに入って行く。
そしてどこからともなく医者の大群が点滴の器具を持って現れ、参加者達に点滴を着けていく。
諒成、湧喜、勇夜の3人も手近なカプセルに入る。
そんな中、また和成の声が響いた。
『開始までにゲーム内でのあなた達の設定を行って下さい。』
その言葉が終わると同時に開いていたカプセルの前面がゆっくり半透明のフタによって閉じられた。
ただただ驚いていたり、それを通り越してオロオロしている参加者達の目の前。カプセルの内壁が、ヴンッ、という音を立てて何かを映し出す。
テレビの画面の様なそれは、いくつかの項目に分かれたキャラクター作成の設定だった。
『その画面はタッチパネル方式となっておりますので、指で押して各項目でお好きなように選択して下さい。』
キャラクターを作成するための項目は全部で4つ。
体型。
髪型。
顔。
クラス。
この4つだ。
和成の放送により、画面の操作の仕方が解ると参加者達は楽しそうに自分のキャラクターを作り始めた。
ある者は一人で黙々と、またある者は友人であろう他の参加者と話しながら、キャラクターを作っていく。
諒成、湧喜、勇夜は言うまでもなく後者である。
「どんな感じにする?」
湧喜が聞くと、
「俺らの外見そのまんまでいいだろ。」
諒成が答え、
「そのままじゃ面白くないから、髪とか瞳の色くらい変えようぜ。」
勇夜が提案した。
2人はその提案にすぐにノッた。
そしてキャラクターの外見を作成していく。
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