prologue

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機器類の光だけを光源とした薄暗い部屋で少年は胸踊らせていた。 自分が開発したゲームのβ版が完成し、テストを行う用意が着々と進んでいる。 まずは1000人先着順で希望者を募り、不具合が無いか確認を行う予定だ。細かい動作確認は済んでいるので、このβ版が実質、最終確認となる。それが終われば本格的に稼働させられる。 「楽しみだな。無事、終わってくれよ。」 言いつつ部下──といっても形式上だけでアドバイスを貰う事も多い──が持って来た最新のβ版参加希望者一覧表を見る。 8割方集まってはいるが、やはり一般人にとっては未知の技術といっても大差ないような技術を使ったゲームに参加することを躊躇っているようだ。 だが、最初のような勢いこそ無いが、今もジワジワ参加者は集まってきている。あと一月経たない内に規定の人数に達するだろう。 「早く集まってくれ……。心配は要らないから…。」 そう呟いて、資料に落としていた目線を複雑な機械の画面に向け、もはや日課になっているゲームのシステムチェックを再開した。
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