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機械が並ぶ狭い部屋。そこに智成の姿はあった。
ここは〈アイオーン〉制御室。
本来は結構な広さがあるのだが、〈アイオーン〉のシステムを根本的なプログラムからイジれるのは智成だけなので、彼が使いやすいように機械を配置した結果、入り口付近に機械が集まり狭苦しい印象を受ける状態になった。
まあ、それでもこの機械類だけで部屋の半分以上はあるのだが。
その制御室の扉が開き男が部屋に入って来る。
和成だ。
「ここに居たか……。」
その声に智成が振り向き、応える。
「うん。ここならゲームの中の状況も判るから。」
楽しそうに言う。
「父さんは参加者の中に面白い人を見付けたんだっけ?」
続けて、父に聞く。
「ああ。なかなか面白い子達だったよ。年はお前とそう変わらなかったな。彼等なら、何かもっと面白い事をやってくれそうだ。」
和成は心底楽しそうに言う。
「父さんがそう言うなら本当に何かやってくれるのかもしれないね。」
智成も楽しそうに言い、2人で笑った。
ゲームはそろそろ、全員の精神を読み込み終え、今まさに始まろうとしていた。
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