夢と現実

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今日、偶然出会った優子と一緒に帰った。 優子は話していると面白く、ずっといても飽きないほど、楽しい女の子だ。 でも、そこには彼女と一緒にいるだけで満足してる俺がいた。 今まで付き合った女の子達は性格が良くても、なかなか馬が合わず、大抵はこっちがフラれてしまう。 それが怖かった 優子も同じなんじゃないか しょせん優子も一人の女 飽きられればすぐに捨てられるのではないか 怖すぎて、今すぐにも逃げ出したかった。 足元から崩れていってしまいそうな 恐怖が募っていた 優子の事は大好きだ 今までの女の子達とはタイプが違うが、とても可愛らしい女の子だ。 初めて優子に会った日 それは今日のあの時じゃない もっと前…そう。 入学式の時だ 俺はその当時、フラれて間もなくだったから、元気がなかった。 地面を睨みつけては下唇を噛み締め、怒りと同時に来る悲しみと喪失感を必死に押し殺し続けていた。 そんな時、優しく声をかけてくれたのは優子だった 『どないしてん?何か元気なさそうやけど、イヤなことあった?』 式が終わり、新入生はすぐ放課後になる。俺は誰とも話したくなかったし、目も合わせたくなかった。 みんなが机を睨んでいる俺の後ろを黙って通り過ぎていくそんな時、お前は声をかけてくれた。 『な…何でもない。関係ない奴は俺に構うな。帰れ!』 これなら黙って帰る そう思った でも 『イヤや』 きっぱり言った 『な…。帰れ言うとるやろ!』 『関係なくないもん。』 『あぁ?』 『関係なくないっちゅーたんじゃ!アホ』 まして、初対面でアホなんて言えるわけがない…いや、言えない。 『んな…』 俺があっけにとられていると、優子はすかさずこう続けた。 『関係なくないやろ?私たちはクラスメイトやもん。友達が困ってんのなんか見てみぬフリできんやろ。』 トモダチ…? 初対面で…互いに名前も知らず…話した事すらない そんな俺を…トモダチ
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