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たっつたっつ。
シャワーの雫がバスタイルに当たってははじけて、
みずみずしく音を立てている。
何時間も入って、
すっかり冷めた湯舟に浸かったままその音を聞きながら、
もう何日もシャワーだけで過ごし、
ゆっくり湯舟に浸かって居なかった事に気がついた。
『いい事だ。』
今日子はつぶやいた。
湯舟に長く浸かると余計な事を考える。
青い瓶のシャンプーに蜂蜜の石鹸、
コンディショナーやトリートメントも、
『シャワーの日』は強い味方だ。
石鹸で顔を洗って次に髪、
コンディショナーやトリートメントをつけると
体がぬるぬるするのが嫌で最後に体を洗う。
大学の講義みたいに
決められたことをテキパキとこなす。
その時、何か考える事はしなくていい。
だから、
今日みたいに湯舟にお湯をはるなんて自殺行為だ。
自分で自分の首を絞めている事に気がつく。
今日もやり過ごしたのに、
どうして最後にこんな事をしてしまったんだろう。
あの時みたいに
何度も何度も後悔する。気持ちを切り換えるのに
だいぶ時間がかかった。
湯舟はすっかり冷たくなってしまった。
ゆっくり湯舟からあがって、
シャワーで体を少しあたためてから体をふいた。
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