デクノボウ

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電車の中で詩集を読んでいるおじさんが居た。 詩集 高校の頃、 母と病院の待合室に居る時、 母との沈黙が堪えられなくて 宮沢賢治の詩集を読んでいた。 デクノボウトヨバレ ホメラレモセズ クニモサレズ ソウイウモノニ ワタシハナリタイ 今日子は本当のデクノボウだった。 何も出来なかった。 そして今もそれは変わらない。 デクノボウどころか。 なるならただの棒っきれになりたい。 秋の山の中に落ちている、 心細くて、 踏めばパキッと音がする棒っきれに。 次はたまプラーザたまプラーザです。 電車は今日子にお構いなしで走り続ける。
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