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『神永さんスッゴイ可愛い!メイクうまいんだね!』
『あ、うん…好きなの』
百合は自分の笑顔が引き攣っているのがわかった。
『ねっ、先生?』
『あぁ…眉毛くらいは毎日描いておけ』
『ちょっ…毎日描いてるし!』
『そうだったか。悪い悪い』
フッと相沢は微笑んだが、百合の愛らしいこの姿ができるだけ長く続くように、そしてまた友達と遊びに行けるようにと切に願った。
『今から抗がん剤を打つ。気分が悪くなったらナースコール押せよ。この薬は……』
相沢がなにやら薬の説明をしているが、百合の耳には入っていなかった。
ただ、俯いていた。
『ねえっ!』
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