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カサ・・・カサ・・・カサ・・・
一人と一匹が足を地につける度に、落ち葉と落ち葉が擦れ合って、音が響いた。
それと同様、頭の上でも、木々の葉っぱが風に揺らされて、サワサワと音を立てている。
フッ・・・
たとえるとすれば、森のオーケストラと言ったところだろうか。
慎まし気な、闇を引き立てる、Nightミュージックだ。
俺たちを歓迎してくれているのだろうか。
そういえば、今宵はフルムーンだったな・・・。
「・・・なーんだ、ただのショボイ林じゃん。
もっとこう、トトロみたいな壮大な森を期待したんだけどなー、なあデブ。」
ニャー。
(フっ・・・貴様はだからガキなんだ。もっとこう、俺みたいに自然の息吹きというものをフィーリングしたらどうなんだ?
・・・いや、貴様には無理か、愚かなホモサピエンスが。)
「あ、やっぱりデブもそう思うよなー。
そりゃあナウウカに出てくる森とまでは言わないけどさー、せめてトトロくらいの雰囲気は欲しいよなー。」
ニャー。
(やれやれ・・・愚鈍なホモサピエンスの相手をするのは疲れるぜ。
このジーザスさえも、貴様にはもう飽き飽きだ。
・・・・ん?
What?急に・・・・)
「・・・・なあデブ、
霧が・・・・急に深くなってないか?」
主人の呟きに、俺は頷いた。
“深い”なんてもんじゃない。
この先の道が見えないほど、前の視界を遮る霧は、濃い。
(・・・何だ、この違和感は・・・。)
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