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「ラクガキが、なんで喋っ……」 「さぁね。私にも分からんよ。何年も何年もずっと同じ景色をここから見てきたが、喋れるようになったのは、ついさっき」 ラクガキ猫はぎこちなく、首をかしげた。 「この通り、動くこともできるようだ」 自分に害はない……そう感じ、体が柔らかくなる。 それより、これは凄いことだぞ。 自分の目の前に今、いるのは何? 喋るラクガキ猫だぞ? こんな状況、映画でも見たことない。 「ああ、そうだ。ちなみに君の友達が怖くて逃げていた声の正体はアレだ」 そう言ってラクガキ猫は顎で後ろを見ろ、というような仕草を取る。 言われた通り振り返ってみると、そこには古くなって錆びた鎖の塊が天井からぶら下がっていた。 風がくると鎖が揺れて人のうめき声のような不気味な音を出しているのだ。
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