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こんな物の出す音で皆、オバケだオバケだと騒いで逃げ出していたのか。
そう思ったら、ひどく笑えた。
再びラクガキ猫が口を開く。
「君も他の子供達のように逃げ出すものとばかり思っていたのだが、そうではなかったのでね。ついつい声に出てしまったのだよ」
「そう……なんだ」
怖すぎて動けないでいたなんて、今さら言えなかった。
「せっかく、こうして知り合いになることができたんだ。君の名前を教えてくれないか」
ラクガキ猫は、そう言って僕を見る。
「ええと…僕の名前はルイン。ルイン・グラッツ」
「ルイン……ルインか。なぜだか、ひどく懐かしいような……そんな名前だ。なぜだろう」
僕の名前を聞いた途端、猫は再び首をかしげて、そう言った。
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