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「……14時26分。ご臨終です」 そう隣の医者が呟いた瞬間、僕は目の前が真っ暗になったんだ。 そう、あれは急に奈落の底に突き落とされたような。 真っ暗な底無しの闇の中を永遠に落ちていくような。 永遠にそこから出ることはできないような。 結局、僕は今でもその永遠から出ることは、できていないのかもしれないのだけれど。 ……それくらいなんだ。 父さんが死んだ日のことで覚えてるの。 ……いや、ちょっと待って。 そう、その日、僕初めて学校のいじめっ子にはむかったんだよ。 殴られようが、痛かろうが、あの日は何かが吹っ切れた気がして、まったく気にならなかった。 ……そして、雨が降ってきたんだ……
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