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しばらく雨宿りをしていると、何やらトンネルの奥の方から物音がした。 「……ゎ………ゃぁ……」 これって、まさか……。 そう思って僕は震えたんだ。 元々、怖がりだった僕だ。 誰かが見たら、きっとあまりに滑稽な震え方と、その顔を笑ったことだろう。 僕は既に雨宿りとして、この場所を選んだことを後悔していた。 逃げたい、でも足が鉛のように重たくなっていて言うことを聞いてはくれなかった。 「……こんにちは……あの……」 ついに観念した僕は恐る恐る声を振り絞って挨拶をする。 なぜだろうね。 こんな状況で普通の挨拶をしていると自分がすごく馬鹿みたいに思えてきて内心、嫌だった。 すると、また奥の方からうめき声が聞こえた。
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