序章

2/6
52人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「姫様、入内まで一月を切りましたわね」 「紫…。わたくしは、入内など…」 望んでいませんわ…。 そう言い掛けた所で、やめた。 わたくしは、藤原道長の一の姫。 諱は、彰子(しょうし/あきこ) もうすぐ、後宮へ入内する身。 そして、わたくしに話しかけているのが、 わたくしの乳姉妹の紫(むらさき)。 「姫様…。姫様が、入内をお厭いなのは 紫も、存じておりますが、 入内は、お父上様の為にございましょう? ならば、姫様が、 帝にお気にいられるよう、 努力するほか、ございませんでしょう?」 「わかっています、そのような事。 ただ、わたくしは…。 」 「姫様?」 「わたくしは、おとうさまの言うままに、 恋も知らず、入内するのは嫌なのです…!」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!