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そして魔や神と契約した中でも桁違いの力を得、それを驚異としているのが、神狩分家第二十一代――――
「もういいわ、律吏(リツリ)」
長々と書物を読み上げる女性の声を、桜歌が遮って辞めさせる。
朗読を阻止された女性は、意外とでも云った表情で、己の崇めたる首領を見遣った。
「何故お止めになるのですか、首領様。我ら神狩の歴史や歴代の首領の能力を知る事も、あの忌々しい分家を潰す術(すべ)に繋がると言いますのに」
鼻に乗せた縁無しの眼鏡を指先で直しつつ、律吏と呼ばれた女性が返す。
艶やかな金髪を、長い前髪ごと後ろで纏めた容貌は、何処かの真面目な教員か秘書の様だ。
白のシャツに、群青のスーツを纏っている所為(せい)で、余計にそう見えて来る。
返された言葉に嫌気さえ射したように、椅子の上で姿勢を崩した桜歌が手を振る。
「だからって、毎日読み上げる事ないでしょ? もう聞き飽きたわ。他の話とかないの?」
「首領様が一向に覚えて下さらないから、わたくしが毎日こうして読み上げて居るのです。これ程にお聞かせして覚えない方も、珍しいものですよ?」
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