序章

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    世界には、幾百もの吸血種が存在する。 満月の夜にのみ凶暴化するものも在れば、煙へと変化するものも在る。 彼らは種族同士、互いに均衡を保っている。 互いの領土を侵さない限り、無駄な争いはしないと云う、契約を結んで。 ――――しかし、一つ。 常に争い続けている種族が在る。 “神狩一族”。 宝玉のように色付いた眸の彼らは美しく尊大だった。 そして彼らは、満月の光を浴びると、各々様々な獣の姿へと変化すると云う特徴を持っていた。 しかし。 或る時、異変が起きた。 異変は首領の息子に現れていた。 その赤子は白い眸をし、満月の光を浴びても、何の変化も起きなかった。 誇り高き神狩の首領は赤子を捨てた。 己の一族の汚点になるからと。  
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