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闇夜に、甲高い音が響く。
金属を擦り合わせながら、紅と白の眸が交差する。
紅の眸の鷹と、白眼の蛇。
眸を細めた蛇が鷹の刃を弾くと同時に、己の剣先から数匹の蛇を噴出した。
刀の軌道から生まれた漆黒の蛇は、牙を剥いて鷹へと飛びかかる。
小刀を弾かれる衝撃に合わせて後方へと飛翔していた鷹は、逆手で握った両手剣を閃かせ、一瞬にして蛇の頭を切り落とした。
羽根の様に軽やかに着地した鷹は、愉快と言った表情で蛇を見る。
「やぁね。ちょっと遊んでただけじゃない」
愉悦混じりの言葉に、悠然と佇んでいた蛇の眸が、不愉快そうに細められる。
「――我が分家の者を使ってか? ……本家の分際で」
「分家の分際で、アタシの前に立つからよ。出来そこないの癖に」
漆黒の衣を纏った男の姿をした蛇が不快感を露わにして言い放つも、紅い襦袢(じゅばん)の女の姿をした鷹がそれを一蹴した。
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