第二章 日常

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光を遮る様に手をかざし、目が慣れた頃に目を開け、恐る恐る辺りを見回した。 そこには小さな社があり、その社を守る様に狛犬ではなく、狛狐がある…しかも四体。 四体の狛狐は、社を囲む様に四方に置かれている。 だが四体の狛狐の内、一体は壊れており、足元には、その残骸が散らばっているのだ… 「なんだよ…ここ…」 生まれて12年間この町に住んでいるが、こんな場所は知らない。 「ボロい社…」 一言呟いて社へと近付く… 「こんにちは、シン」 いきなり後ろから声を掛けられ、驚き身をひるがえす。 そこには、神子装束を身にまとった青年が立っていた。 青年は天然なのか、髪があちこちはね、眠そうな顔をしている。
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