世界を越えて……

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錬がその世界に来て初めて瞳に飛び込んできたのはまるで大都市の上空から眺めたような光景だった。 そして、その世界で初めて耳で聞いた音は風を切る音だった。 その世界で初めて肌に感じたのは万有引力に引っ張られて落ちている時に感じる空気の中を突き進む感触だった。 「って、落ちてるよ!! 出るとこ間違えた!? うぅー凛さん達の癖が移ったのかな~」 【空間曲率制御デーモン『アインシュタイン』起動】 愚痴りながらもIブレインを起動させて、重力を操作して落下を緩やかにしていく。 Iブレイン、正式名称・Infomatiomal-Brainとは、簡単にいってしまえば超高性能生体コンピュータである。 『世界は情報で出来ている』 これはとある世界の概念。 世界のあらゆる物は情報で出来ているというものだ。 人や草木、建築物や物理方程式に至るまで全て情報の羅列で構成されているという概念。 その世界ではある一定以上の計算速度を持ったコンピュータを使い、『情報の海』と呼ばれる領域にて情報を書き換えれば、書き換えられた事柄が現実に反映される。 そして、脳に埋め込み個人単位で世界の情報を書き換えれるようにしたものがIブレインだ。
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