第8話

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      『花冠をドアノブに掛けたのは草菱さんですか?』 『あぁ。そうでした、そうでした』 『草菱さんは、冬とは話せないの~?』 『いえいえ、話せますよ』  と言って  草菱は微笑んだ。 『花冠が降って来た時に、持ち主の見当はついていたんです。あの子はそそっかしいですからねぇ』 『じゃあどうして…』  草菱は  お茶を少し飲んだ。 『貴方たちに、貴重な体験をしてもらいたかったんです』  そう言うと  草菱は  少し困った顔をした。 『老婆心というか…まぁ私は爺さんですがね。能力を持っているなら、殺伐とした物ばかりではなく、と思いまして』 『ご迷惑でしたか』 『いえ、そんな事ないです』 『冬と話すなんて、そうそう無いからね~』  僕たちが  そう言うと  草菱は満足そうに  笑った。            
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